秋の燕岳

はじめに

学生時代よりずっと一緒に山に登ってきた友人Iが留学することになった。出会ってからかれこれ6年、彼と共に登ってきた。
南は屋久島、北は日高山脈。三回生まで入っていたサークルでは彼がリーダーで私がサブリーダーを務めていた。サークル自体は諸般の事情で三回生の後期に辞めたが、それから3年、未だに「あのときのIパーティー」で山に登ることが多い。そんなパーティーを率いる側の一人として、彼と共に山に行くことができたことに感謝する。書きたいことはそれこそ山ほどあるはずなのに、こうやって向き直るとうまく言葉にできないのが残念だ。あきれるほど歩いて飲んで夜を過ごした。ずいぶんと計画には反対したし、けんかもした。思い出をつづり始めると限りがないが、一言で言うならば最高のパートナーだった。そんな彼がスイスへ留学する。最後の山に選んだのは北アルプスの主峰を見渡せる燕岳。下級生も交え合計7人で登った秋の記録。

平成18年10月9日 京都〜合戦尾根登山口

10月8日、大学の正門前に7人が集合。元Iパーティーのメンバー4名に関係のない下級生3名。午後8時に京都市左京区を出発、翌日午前4時に到着。延々と下道を走り続ける。私は今回、助手席でのんびりとくつろいでいただけなのだが、下級生の運転もだいぶうまくなったことを実感する。特筆するようなことはあまりなく、いつも通りアホアホトークとジャスコでの休憩をはさんで到着した。


合戦尾根〜燕岳〜下山
午前7時、行動開始。荷物が軽いせいかあり得ない速度で登り続ける。かつて北アルプス3大急登と呼ばれた合戦尾根もこのメンバーで行くと楽勝。合戦小屋までコースタイム3時間のところを1.5時間で登り切った。ちなみにIはわずか1時間で合戦小屋に到着。
合戦小屋手前
合戦小屋を過ぎる手前から雪が現れる。恒例の雪合戦の始まりだ。前日までは遭難死者を出す天候だったようだがこの日は快晴。冠雪した北アルプスの峰々が眼前に、振り返ると南アルプス、富士山の姿がくっきりと映っていた。特筆すべきは槍ヶ岳、穂高連峰。
槍、穂高
これほどまでにくっきりとその姿を確認することができるのは稀である。本来ならば紅葉を楽しみに行ったはずなのだが、冬山を思わせるような景色であった。合戦小屋から稜線上、燕小屋(えんごや、だそうです)まで30分。最上の風景を楽しみながら「駆け」登った。
燕小屋。左端がIさん
これが燕小屋からの風景。左端が我らがリーダーのIさん、その隣あたりが下級生の元Iパーティーの面々。思い思いに写真を休憩を摂る。稜線場に出てしまえば後はのんびりと歩く。途中、ハイマツについた樹氷こんな氷の造形を楽しんで歩く。
氷の造形、風の彫刻
樹氷
寒さと風の強さが作った横向きの氷柱だと考えられる。さて、そうこうするうちに山頂へ。燕岳山頂よりの眺望などをこちらに。
山頂より北の風景
北燕岳
山頂自体は狭い。特に10月の三連休のように人が大勢集まるような時期では山頂でのんびりと休むことは不可能に近い。頂上から北側に広いスペースがあるのでそちらでのんびりとすることを薦める。
燕岳より北部、餓鬼岳に行こう、という話もあったがさすがに時間的な制約を受けているので却下。全山、とまではいかないものの、大部分が紅葉し稜線のみが白くなった山肌を眺めながらの下山だ。
餓鬼岳への稜線
それなりのペースで降りる。燕〜鞍部まではとにかく下るので要注意。驚くほどに下る。しかもこちらの道は整備がよくなく、登ってくることはためらわれる。さらに、燕〜餓鬼岳の鞍部は昭文社発行の「エアリア」において標高の記入ミスがあるので注意。
飛行機雲と北アルプス
下山途中、北アルプスの稜線に消えていく飛行機雲を見つけた。秋の只中、単純にきれいな風景を記しておく。周囲の山肌の崩壊激しい沢沿いの道を下り、燕山頂から温泉まで2.5時間で下山。沢沿いの道が大きく崩壊し、厳しめの高巻き道がついていることを考えればまずまずのスピードで下山。やはり、この道を登ってくることはためらわれる。途中で数回の渡渉をおこなわないといけないことからも通常の合戦尾根登山道を歩むことが賢明であろう。更に、この沢、砂防ダムばかりなので正直何の楽しみもない。危険、道迷いの心配はないものの年を越せば新たな道がつけられてしまう可能性もありそうだ。

下山その後
今回が彼との最後の山行になった。彼は二年ほど留学し、夏には日本へ戻ってくるだろう。それでも学生としての登山は今回で最後。下山した瞬間、何かが終わったような気がした。
いつもどおり最高の山だった。再びこのメンバーで迎える夏が来ることを祈る。



ご意見・ご感想・誤字などございましたらplasmid@wine.ocn.ne.jpまで。

copylight-(c);2006.Digital Future.all rights reserved.

ホームページトップへ

旅行記のトップへ