季節シリーズの背景
季節シリーズの世界は「ここではない日常」である。場所は日本。物価も人口も経済活動も変わらず。現代と異なる点は
・戦争が起こっていること
・生物工学が進んでいること
・多少科学技術が進んでいること
以上三点である。基本的な舞台は北海道。季節シリーズに出てくる「都会」とは札幌を想像しているが、「春、都会の隅」および「冬、ここから」の舞台となる名門校のモデルはない。「夏、花の島」の舞台は礼文島であるが、礼文島に存在する自衛隊基地は陸上自衛隊の基地であり、航空自衛隊とは関係ない。「秋、果ての岬」の舞台は知床を舞台としているが、景観および気象についてはほとんど無視している。
季節シリーズの「戦争」
戦争は季節シリーズ「春、都会の隅」の約30年前、突如礼文島が奇襲されたことに端を発する(いわゆる『果敢なる誇り』の事件)。この奇襲により礼文島の島民は全滅、北海道全域で一ヶ月の激戦が展開された(事実旧ソ連が攻めてきた場合、北海道で一ヶ月間の防衛線を築くことが自衛隊の任務であったようだ)。占領を免れたのは千歳基地以南、市民による抵抗の続いた札幌市、そして全力を挙げて奪回された礼文島。
その後、約一年をかけて札幌市までを奪回、十数年をかけて北海道全域を奪回。「夏、花の島」の八年前、北海道全域に潜伏するゲリラを掃討するという大義名分のため、ゲリラ侵入の拠点である千島列島に侵攻。
そして「秋、果ての岬」の一年前、戦争開始六十年をかけて戦争は勝利で終結。「冬、ここから」では戦争終結二十年目が舞台となっている。
なお、戦争相手国はどう考えてもロシアか中国ということになるが、設定では「そのどちらでもない国(北朝鮮でもない)」ということにしている。相手国の戦力・兵器についても当該国を想定したものではなく、「圧倒的な物資をもった大国」という設定のみである。また、日本側の武力についても特に自衛隊を想定しているわけではなく、階級呼称も異なっている。
徴兵制
「季節シリーズ」では「冬、ここから」を除き、徴兵制が大きな問題として取り上げられている。徴兵制のシステムは単純で
・一人目を除く子供(第二子以降)は絶対に兵役義務が生ずる
・兵役義務の生ずるものであっても、長女で第一子と結婚した場合は兵役を免除する
この二点のみである。細かい設定では「一旦結婚するとなかなか離婚できない」や「徴兵逃れは重罪」などもあるが、特に大きな設定ではない。ちなみに季節シリーズの主登場人物で兵役義務の生ずるのは「夏、花の島」に登場する千島桔梗の叔父、および「秋、果ての岬」に登場する秘書兼雑用の野上葵だけである。兵役は高校卒業と同時に就くか、大学在籍中に就けばよいものとされる。徴兵制が特に重要な意味を占めるのは「春、都会の隅」である。
北東技工
セキュリティ・認証システムなどの開発、生産を行っている企業。情報セキュリティ関係の仕事で元来軍隊とのつながりが強かった。戦争直前より生体判別システムの開発に乗り出す。当初は赤外線による判別から味方信号を発するものを除外し、「敵味方判別システム」として自動小銃に組み込む技術で国内トップ企業に名をあげる。橘氏は北東技工の最大株主であり、北東技工の権益拡大に貢献した。いわゆる「死の商人」であるが、「最小限の犠牲と最大限の社会貢献」を謳い文句にあらゆる福祉事業と寄付を行っている。北東技工関連の登場人物は「春、都会の隅」の橘爽萌と爽萌の伯母のみである。「冬、ここから」および「誕生詩」の橘幸一は遺伝的には橘家の血を引いていない(育ての親は橘爽萌である)。ちなみに橘家は女系。
敵味方判別システム
敵味方判別システムには二種類がある。
・機械による判別システム
戦争開始三年目、より高度な判断を必要とする戦況に対応するため、敵味方自動判別システムを脳に直接組み入れる技術を開発。いわゆる外部に「第六感」を装備した兵士を作り出すことに成功、脳と機械の入出力技術を完成させた。一般に出てくるのはこちら
・脳強化による判別
視覚神経、聴覚神経その他を強化することにより、背格好から敵味方を判別するシステム。閾値(神経の反応する最小限の値)を意志を持って極端に下げ、視覚を高める方法が使われる。また、感覚神経のみならず、小脳の運動神経の制御を意志で開放することにより、常に「火事場の馬鹿力」を出すことができる。
だが、閾値の低下および小脳の制御機能を意志を持って開放する、ということは大脳で全てをつかさどらざるを得ず、大脳に多大な負担がかかる上に制御方法も確立されない。このため、膨大な生体実験がなされたものの、完成されたシステムは最後までできあがらなかった。脳強化を受けた登場人物は季節シリーズ全編の千島桔梗、「秋、果ての岬」に登場する小隊メンバー全員。
名門校
「春、都会の隅」および「冬、ここから」、「誕生詩」に登場する高校。場所は都会の隅、土地は栃内家の所有物であるが、管理は北東技工が行っている。一学年二百人、一学級三十人までで運営されている。施設には恵まれており、テニスコート六面に二つのグラウンド、農場、ガラス温室つき植物園、体育館二つに講堂、三棟の校舎から成っている。特に「春、都会の隅」で触れられている植物園は亜熱帯植物から高山植物まで多種多様な植物を収集したものであり、貴重な展示園として一般にも開放されている。一方、芸術棟だけはプレハブとなっている。
就学困難な生徒への生活保障、成績優秀者の学費免除、運動系生徒の受け入れなども行っている。校風は「自由・自主・自律」の三つ。生徒間の問題は生徒会が解決するという独自のシステムを持つ。
登場人物で生徒会の会長を務めているのは橘爽萌と千島雫輝だけである。千島桔梗は生徒会活動には全く関与していない。
この名門校では学校祭が開かれ、日程は五月の中旬。内容は運動系生徒による記録大会、文化部による室内展示、生徒会による舞台発表、と三本柱になっている。模擬店等は学校職員による管理となるため、学外からの参入のみとなっている。学校祭、というよりは地域の振興と北東技工の宣伝を兼ね備えた性質を持つため、地方有力者は必ず参加する。
この名門校のモデルは特にないが、植物園は北海道大学の植物園を想定した。また、芸術棟については私の出身校を想定している(場所は秘密)。主要登場人物のほぼ全てはこの学校に入学、そして卒業している(「誕生詩」の丹沢風花は卒業せず。千島(栃内)小桜は卒業式に参加せず)。
栃内家
栃内家は北海道開拓の時期より移住した旧家である。元々政府との結びつきが強かったため、多くの土地および企業の払い下げを受け、莫大な利益を得る。栃内家は公益的な要素が強いため、税金免除の特権も持つ。資産の規模は日本一とも言われ、北海道の南半分はほぼ全て栃内家の持ち物であるとすら言われている(家賃等を取っているわけではない)。現在では直接的な企業経営を行わず、各種公益組織の委員、地方議会議員および国会議員、官庁の局長クラスおよび軍隊の師団長クラスに親族を持つ。名前の由来は「トチナイソウ」より。
栃内家も女系であり、小桜は栃内家の跡取りとして期待されていた。北東技工とは表面上懇意にしているが、そのブレーキ役として働いていたのも栃内家である。栃内家の登場する「季節シリーズ」は「春、都会の隅」および「冬、ここから」である。栃内の血を引く登場人物は「春、都会の隅」および「夏、花の島」の千島(栃内)小桜、「季節シリーズ」全編登場の千島桔梗、「冬、ここから」の橘幸一と千島雫輝である。
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